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Mamiko Kikuchi映画の中のファムファタールたち

 

 

 

 

 

 

 

 

ファムファタールって男の人にとって運命の女とか破滅させるほど魔性の女って意味。
破滅をさせるほどの魅力ってどこからくるの?
知りたいけど知りたくない、危ないフムファタールたちの魅力をこっそり映画の中で覗いてみたい気分。

髪結いの亭主

公開年:1990年
製作国:フランス
パトリス・ルコント監督

 

これは破滅に向かわせる魔性タイプじゃなくて純粋に男にとって「運命の女」という意味でのファムファタールのおはなし。
男の人はみんなどこかでヒモみたいな生活をしたいって一度は思ったことあるでしょ?
これはつまりそんな夢を幼い頃から掲げて、嘘みたいなカタチで実現しちゃった男の話。
画面ごしでもフェロモンが匂い立つようなアンナ ガリエラの神秘的な美しさはまるで女神さまのようで、ファンタジーではないはずなのにまるで御伽噺を見ているような気持ちになってしまうから不思議。
少年の性の目覚め、フェロモンが匂い立つような年上の女性への憧れと妄想が叶う理想の女性との愛欲の日々だなんて、冗談みたいに男の夢の妄想を形にしちゃったけど、嘘っぽい感じがしない心地よさがある作品。

エクス・マキナ

公開年:2016年
製作国:アメリカ/イギリス
アレックス・ガーランド監督

 
これはなんと人間じゃなくてAIの女の子の奇妙なおはなし。
あと、ほんの数年したらこんなこといろんな場所で起こっちゃうかもしれない。
AIでもこんなに魅力的な女の子が、無機質ではないやわらかいすべすべの肌で世界中の男の子たちを魅了したら、女の子がこの世界に余ってしまうではないか!
そしたらとびっきりセクシーな男の子のAIも必要になるかもしれない。
この妖艶で美しいAIを演じたアリシア ヴィキャンデルのちょっぴり憂いを帯びた目元と完璧すぎるバランスのとれた裸体を観て、素通り出来る男はいないと思う。

ドリーマーズ

公開年:2003年
製作国:イギリス/フランス/イタリア
ベルナルド・ベルトリッチ監督

 

映画オタクである主人公のアメリカの留学生が魅惑的な一卵性双生児の姉弟と意気投合して彼らの住むアパルトマンで共同生活を始める。
まず異性一卵性双生児ってとっても不思議。
二卵性じゃなくて一卵性の男女の双子は遺伝子的にはありえないからその時点で2人は夢のような存在な気がする。
主人公マシューの好奇心がいつの間にか彼らの蜘蛛の糸に絡まり身動きが取れないほどになっていくのは多分必然。
インモラルで退廃的な三角関係の日々はいけないものを覗き見しているような気分だった。
年齢以上の独特な色気を備えながら、可憐な少女らしさも併せ持つ魅力的なイザベルの芸術品のようなヌード姿も含めて思わずエヴァ様と呼びたくなるさすがの風格。

公開年:1959年
製作国:日本
市川崑監督

 

谷崎文学は好きですか?
谷崎潤一郎のディープすぎるマゾヒズムを全部理解することは難しいけど、こういう耽美的なものは実は嫌いじゃない。
これはそんな谷崎の「寝取られ願望」を巨匠市川崑監督が映像化した作品。
外側から見ると上品だけど実はえげつなく、一体誰が何を考えているのか全くわからない張りぼての家で起こるドロドロ愛憎劇は変態チックだけど今の時代観るとみんなキャラクターが滑稽すぎて面白い。
もしもあの世が存在し無いのなら、登場人物の思惑は煙に巻かれていつしか葬り去られる。
心の扉を開ける事なく行き場を無くした鍵が見えないけどこの世界にはたくさん散らばっているのかな。

マジカルガール

公開年:2014年
製作国:スペイン
カルロス・ベルムト監督

 

ダークファンダジーでも、ミステリーでもサスペンスでもない、得体も知れない感じがしてこれを観た時ナンジャコリャー!って思った。
上手く言えないけど観たあとずっとネットリと後引く忘れられない映画になってしまう。
余命わずかな女の子と幸薄な美しい主婦。
全く交わるはずもないマジカルガール2人が知らぬ間におじさんたちを惑わせてあれよあれよと言う間に不条理な未来が訪れちゃう。
みんなめちゃめちゃ暗いし、誰にも共感できず謎が深まり、訳がわからないままダークでシュールな世界に引き込まれていってもう最後まで観ないと気になるアリ地獄。
でも中盤までまったく散り散りのように思えたストーリーがラスト20分くらいで一気にシュッと纏まってパズルのピースがハマるような感覚もなんか好きだったな。

Mamiko Kikuchiボーダーレスな恋の話

 

恋のボーダーって一体何なんだろ?
一体いつの時代にどこでどんな人がボーダーラインを決めたかは誰も知らない。
男とか女とか宇宙人とか地球人とか動物とか魚とか何もかも取っ払ったら自分自身が人間なのか地球人なのかもうどうでもよくなって、この宇宙にあるもの全てが愛おしくなる。
さぁ、一歩踏み出してみて世間の目とか常識はこうあるべきなんか糞食らえだよ。

パーティで女の子に話しかけるには

公開年:2017年
製作国:イギリス/アメリカ
ジョン キャメロン ミッチェル監督

 

夜中にちょっと散歩して、たどり着いた大きなお屋敷には今までみたことないような不思議なパーティーに迷い込んでみる。
もしかしてカルト宗教?普通なら一目散に逃げるけど、そこに超絶可愛い女の子がいたらどうだろう?
キスゲロされても、不完全な性交渉だって構わない、こんな破茶滅茶な恋ができるのは相手は彼女だからなんだ。
サブカル風味全開で、ちょっぴりエッチでシュールなエンとザンの愛の逃避行がものすごく羨ましく見えたのは2人の甘くピュアな心がスクリーンいっぱいに広がっていたからかな。

君の名前で僕を呼んで

公開年:2017年
製作国:イタリア/フランス
ルカ グァダニーノ監督

 

心よりも先に思いがけない相手にカラダの深い部分がいつのまにか充血することだってある。
[僕は君で君は僕]
大好きな相手といつか離れ離れになるのならいっそ一緒の存在になってしまいたい。
そんな張り裂けそうな想いもとんでもなく幸せな瞬間も、全てが人をつくり成長していくから無駄はないはず。
運命の恋だって結ばれないこともあるし、運命ではなくてもそれなりに愛し合うことができる。そんな遣る瀬無い想いも水の底や土の底に葬りながら世界はなんとか回っていくんだよね。

神様メール

公開年:2015年
製作国:フランス/ベルギー/ルクセンブルク
ジャコ ヴァン ドルマル監督

 

こんな事言ったら怒られるかもだけど、聖書の神様ってかなりモラハラ。
そんなモラハラ神様に弄ばれていつもてんやわんやになってしまう私たちを天国からの目線で描いてみたのがこのおはなし。
あなたがもし世界のくだらない常識に縛られてほんとうの自分を閉じ込めてしまっているならこの映画を観てみて。
ゴリラに恋に主婦の姿に少しドキってなるかも!
もしも明日世界がなくなるかもって想像してみたら、考えてもみなかった自分の中に潜んでいた愛の形が突然顔を出して暴れ出して、自分のことまでもっと愛せるかもしれないから。

シェイプオブウォーター

公開年:2017年
製作国:アメリカ
ギレルモ デル トロ監督

 

毎日同じ時間に目覚め社会に決められた枠に支配されたいつものルーティンを繰り返す生活。
仲の良い友達はほんの少しだけ。
皆も優しくしてくれるからそれだけで私は幸せだけど私はこの世界でとても孤独だ。
そんな私の目の前に醜くも魅力的なクリーチャーが現れた。彼は私をまっすぐ見つめてくれるはじめての人。
【その日から彼は私の神様になった】
ギレルモ デル トロ監督だから作り出せるグロテスクなのに美しい不思議な御伽噺。
他人の目など気にしない2人だけの海の世界に自由に何も考えずに、ただ水の泡になって漂いたい。

シザーハンズ

公開年:1990年
製作国:アメリカ
ティム バートン監督

 

愛する人が目の前にいて、抱きしめたくて仕方ないのに抱きしめることができない。
こんな切ない想い経験した事ありますか?
ハサミの手を持つ人造人間の青年が生まれて初めてみた美しい娘を見てごく当たり前に恋をしただけ。
誰かの虚栄や嫉妬によって真実は捻じ曲げられて、純粋な存在は声すら上げられない。
奇才ティム バートン監督が異形の者を排除する事に躍起になった愚かな人間たちの姿を風刺した現代版「美女と野獣」は、ちょっぴり残酷で容赦なくて、彼のことを思い出すだけで古傷みたいにズキズキ痛む。

Mamiko Kikuchiフェティシズムに溺れる映画

 

フェチっていうととてもポップでユニークな響きなのに、「フェティシズム」の響きになったとたんにとても危険で秘めやかな音に聞こえてくる。
わたしはまだ何か特定の部位やモノに固執した事がないけれど、我を忘れて倒錯できる何かがあるって動物的で少し惹かれてしまう。
人格がフェティシズムをつくるのか、それともフェティシズムが人格をつくるのか・・・一体どっちなんだろう。

空気人形

公開年:2009年
製作国:日本
是枝裕和監督

 

空気を入れてもらう。するとみるみる身体が膨らんで、男たちは彼女を好きな形で愛で始める。
「私は空気人形、私は性の代用品」
ある日「にんげんのおんなのひと」になった空気人形は自らの足で歩き、笑い、そして恋をした。
わたしたちは世界に無秩序に散らばってるようで、ほんとはゆるく繋がっている。
けれどもそんな繋がりをあえて遮断して、代用品に癒しを求めるようになった人間たちと、身体いっぱいに愛する人で「生」を感じようとする空気人形との対比を見せられて、ちょっとだけ切ない気持ちになった。

薬指の標本

公開年:2004年
製作国:フランス
ディアーヌ ベルトラン監督

 

奇妙な標本ばかりが溢れている標本製作所で働く主人公イリスは、初老の標本技師に恋をする。
退廃的で、官能的な小川洋子ワールドがフランス映画と驚くほどマッチして、007/慰めの報酬でボンドガールを演じたオルガ キュレリンコの透明感のあるオールヌードや、静謐な標本製作所の映像が印象的。
標本技師はイリスに美しいヒールの靴を与え、それを毎日履いて欲しいと懇願する。
靴だけで表現される愛の物語はとてもエロティックで上品。
まるで彼の標本室の中に囚われてしまったような恐怖心と喜びが合わさったイリスの複雑なゆらぎが伝わってくるようで、いつ観てもドキドキしてしまう。

ラースとその彼女

公開年:2007年
製作国:アメリカ
グレイグ ギレスピー監督

 

「トラウマで家族以外と話すことのできない青年ラースの恋人ビアンカはなんとアダルトサイトで売られていたリアルドール。
LA LA LANDでもおなじみのライアン ゴズリングが少しふっくらした輪郭と優しいタレ目の愛おしい瞳で、シリコン製のリアルドールを見つめるものだから、こんなに愛されるリアルドールのことがちょっと羨ましくなってしまう。
彼が世界とつながるためにはこのビアンカが必要で、彼を優しく見守る周りの眼差しも必要で、フェティシズムからもこんな風に温かいラブストーリーが生まれるんだから人間ってやっぱり面白い。

パフューム ある人殺しの物語

公開年:2006年
製作国:ドイツ/フランス/スペイン
トム ティクヴァ監督

 

匂いフェチって言葉はよくあるけど、その内容は様々。
香りは永遠でないから美しく、儚いからこそとても崇高な芸術のはずなのに、この物語の主人公ジャンは乙女の純潔の香りを永遠に閉じ込めようと人間の域を超えたグロテスクな行為を繰り返す。
フェティシズムは悪いことでは無いけれど、独りよがりに欲望だけを追い求め、節度を超えたその先にあるのは人類の終わり。世界の終焉。
どんなフェチ行為もあくまでもお互いの同意の元で・・・ね。

スイートプールサイド

公開年:2014年
製作国:日本
松居大悟監督

 

「ねえ、私の毛を剃ってくれないかな?」
毛が生えなくて悩むツルツル男子と毛深に悩む女子の青春ブルース。
コンプレックスって、他の誰かにとってはたまらなく羨ましいものだったりするけれど、それを秘密に分かち合える関係ってなんだかエロいよね。
純粋に毛深を悩む彼女との秘密の放課後に、だんだん妄想が膨らんで暴走して、ブレーキが止まらなくなってしまった彼の頭の中にちょっと笑ってしまった。
剃毛フェチなんて実際あるのかないのか分からないけれど、あまりに純粋にジョリジョリタイム一直線になってしまったピュアボーイの痛々しい青春を温かい目でしかと見届けてほしい。

Mamiko Kikuchi少女のロストバージンのものがたり

 

ロストバージン、それは意外と人によって重きが違う。
神聖に、大切に守りそれを厳かな儀式のように考える人や、逆にそれは大人の女性への通過儀礼だと割り切る人もいる。
その先にエクスタシーも知らないのに、自分の中に誰かが入ってくるのを受け入れて血を流すなんてよく考えてみたら、ものすごい勇気ある行為!だから女の子側からみた世界は色々複雑だ。
ロマンチックだったり、痛々しかったり、切なかったり、さまざまな少女たちのさまざまなはじめてのものがたりをのぞいてみて。

魅せられて

公開年:1996年
製作国:アメリカ
ベルナルド ベルトリッチ監督

 

この作品の監督ベルナルド ベルトリッチは今年この世を去った。
彼はその鮮やかな映像美だけでなく、女優をとびきり美しく映すことでも有名な監督だった。この映画でヒロインを演じた当時19歳のリブ タイラーも、その長くしなやかに伸びる手足が印象的で、少女と女性の中間の時期だけの、とびきりキラキラした瞬間が切り取られていた。
母の過去を探る旅がいつのまにか自らの性の目覚めに繋がり、深い愛もまだ知らないのに早く母に近づきたいと願うから、会って間もない男と恋をして抱かれる。
こんな生々しくて野生的なロストバージンもなんだかかっこいいと思ってしまった。

愛人 ラマン

公開年:1992年
製作国:フランス/イギリス
ジャン=ジャック・アノー監督

 

これはまだ人の愛し方も知らない少女が退屈な毎日と貧しさへの慰めをキッカケに快楽に溺れる耽美的な愛の物語。
茹だるような湿気のこもるサイゴンの一角で、無心でセックスをするシーンよりも、少女の足の間から溢れる赤い血液とそれを無言で拭き取る青年の姿のほうがとてもエロティックに映った。
これを観るまで愛は、2人が出会い、見つめあってからようやく生まれていくとのだと思っていたのに、からだとからだが合わさって、それから心がずっとあとから追いついてくる事もあるのだと知った。
未来がなくてもこびりついて離れない愛もあることも知った。

ジョゼと虎と魚たち

公開年:2003年
製作国:日本
犬童一心監督

 

愛を望むのは呼吸をするのと同じくらい当たり前なことなのに、そんなことを願いもせず強固な壁の中に隠れ、淡々と生きていたこの物語のヒロイン ジョゼ。
自分の作ったごはんをおいしそうに食べる彼。自分のために涙を流してくれる彼。
誰かに愛されることなんか考えもしなかった女の子が心も体も捧げて愛されたいと思った一生に一度の恋。
この映画で初脱ぎした池脇千鶴さんの姿を相手役の妻夫木さんは本当に愛おしそうに抱きしめたシーンが切なくて優しい。
そしてロストバージンがこんなに大切なものなのだと改めて知って胸がギュッとなる。

プリティベビー

公開年:1978年
製作国:アメリカ
ルイ マル監督

 

女の子はいつだって何者かになるのが好きだ。ドレスを着てお姫様になったり、エプロンをつけてお母さんになったり・・
この物語の主人公バイオレットもまだ12歳なのに娼婦の母親に追いつこうと処女を売り、恋の真似事もする。
でも男に抱かれたからといって大人の女性になれるわけではないし結婚したからといって貞淑な妻になれるわけでもない。
母の胸に抱かれればまだ娘に戻ってしまう幼さの残るバイオレットが、大人の男を妖艶に誘惑するそのアンバランスさがなんとも魅力的で、タブーだらけのこの物語に思わず納得してしまいそうになるからあぶない。あぶない。

この国の空

公開年:2015年
製作国:日本
荒井晴彦監督

 

明日突然死ぬかもとか、明日好きな人がいなくなるかもしれないなんてことは考えたこともなかった。
一番きれいな年ごろに、周りの男たち兵役にとられて、周りに若い男はだれもいなくなった。そんな時、大人の男性に見つめられて生まれて初めて「きれい」と突然抱きしめられたら自分の中の女が目覚めてしまうのは必然。
たとえ不謹慎だとしても、矢のように鋭利な欲望はカラカラに乾いていたから今すぐにでも抱いて欲しくて真夜中にもぎたてのトマトをあの人に渡しに行くだなんて、、
そんな艶めかしい処女の捧げ方もあるのだと知って、そんなことができる主人公に少しだけ嫉妬してしまった。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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Mamiko Kikuchi女の子とおんなのこのものがたり

 

男と女の恋愛は互いにないものを求めて惹かれ合うのだけど、女と女の愛は互いの魂を一体化させて激しく心をくっつけようとする感じがする。
といっても私は残念ながら女の人と恋愛した経験がない。
だけども柔らかい濡れた唇にドキッとしたり、ふっくらとした肌をつかんでみたり、白いうなじにキスしたい衝動に刈られるのは女の子にだったりする。
今回紹介する5つの作品の主人公たちは皆元々恋愛対象は男性だったはずなのに、運命の相手がたまたま女性だったというだけ。
蜂のように甘い香りに吸い寄せられて、まつ毛が触れ合うほど顔を近づけたらまるで一卵性の双子のような気持ちになって、たとえカラダが一つになれなくても心が一つになれるようならこの上なく幸せなのだ。

カケラ

公開年:2009年
製作国:日本
安藤モモ子監督

 

満島ひかり×中村映里子
ある日大学生のハルちゃんに突然一目惚れしたリコちゃん。
柔らかいものに触るのが好き。触られるのが好き。良い匂いの女の子が好き。自分にとって気持ちいい人がいい。
そうやってまっすぐな目で言うリコちゃんの
愛はまっすぐ過ぎてこっちがドギマギしてしまう。
好きな人が女子だとの周りに知られたくなくて、世間体を気にして元彼との間でフラフラなハルちゃんはリコちゃんを同じように愛してあげられない。
運命の恋も同じ歩幅で歩ける事なんてなかなか出来ないよね。
お母さんが幼い子どもの手を引くようにどちらかがゆっくり待っててあげないといけないのだってこと、この2人の危うい関係を見て思い知らせた。

アデル、ブルーは熱い色

公開年:2013年
製作国:フランス
アブデラティフ ケシシュ監督

 

レア セドゥ×アデル・エグザルコプロス
運命の相手はどんなに遠くでもまっすぐに目に入ってくる。
目の覚めるようなブルーの髪の毛のハンサムな女をいつのまにか目で追いかけてどんどん惹かれていってしまうミステリアスなエマの存在感がとても強烈で、私もスクリーンの中の思わずエマに恋をしてしまった。
2人の愛し合い方がとても崇高で、心がまるで一体化してしまったかのような激しさに、2人が別々の人間で生まれてしまった事すら悔しくなってしまった。
ちなみにこの作品、主演のレア・セドゥとアデル・エグザルコプロスが2度とこの監督の作品には出演したくらない!と言ったほどハードなラブシーンが印象的で、随所に監督の狂気に満ちている衝撃作。

お嬢さん

公開年:2016年
製作国:韓国
パク チャヌク監督

 

キム テリ×キム ミニ
露骨な性描写がたくさんあるわけではないけれど、随所に感じてしまうめくるめく変態の世界。
エロスによる支配とエロスによって生まれる裏切りとエロスにより生まれる純愛
韓国のタランティーノと呼ばれるパク チャヌク監督の変態フェチシズムが炸裂しているこの作品の中で唯一崇高だった召使いスッキとお嬢様の清らかなラブシーン。
別に私は女性同士のラブシーンが趣味ではないけど、何も知らない純粋なお嬢様をスッキが手ほどきして、目を潤ませて見つめ合う2人を見ていたら、どうか唯一この2人の愛だけはどうか最後まで本物であって欲しいと心の中で祈っていた。
欧米の映画には絶対出せない、韓国映画特有の湿り気とねっとり感がこの作品の怪しさを際立だたせるから余計にエロく感じるのかも。

マルホランドドライブ

公開年:2001年
製作国:アメリカ
デヴィッド リンチ監督

 

ナオミ ワッツ×ローラ ハリング
鬱屈とした世界なのに、何故か逃げ出したいとは思わない。
むしろ不思議な箱の中に閉じ込められてもっとその奥の箱も開けてみたくなるとんでもない没入感。
これはなんという厄介な映画なのだろう。
愛とエロスに溺れ、狂気に貶められて内面世界の箱の中に閉じ込められた主人公。
現実の幸せなんてどうせいつでも危ういものだから、いっそのこといつまでも自分と愛する人と箱の中へ閉じ込めておけばいい。
摩訶不思議な世界に閉じ込められて愛し合う
妖艶なローラ ハリングと若くて可憐なナオミ ワッツの映画史に残る美しすぎるラブシーンは必見。
崩壊寸前の2人の危うい美しさに観ているだけで目眩がしそうになった。

贅沢な骨

公開年:2001年
製作国:日本
行定勲監督

 

麻生久美子×つぐみ
親友みたいに姉妹みたいに恋人みたいに暮らしていた2人の女の子。
誰にも介入できないはずの生活に突然、男が絡んではじまる奇妙な三角関係のものがたり。
ずっと微睡んだ夕暮れ、目的もなくてた目の前にある人間関係だけが生活の全ての静謐な時間たち。
人と人の間はいつも不安定で、変化して行くのに、パズルみたいにぴったり合ったと思い込んでしまうけど、ほんとのほんとはパズルのピースなんて存在しない。
人間はたった一人で生まれて一人で旅立つ。
言いたいことは心の中に隠したままの美徳が日本人にはあって、大事な言葉を骨になるまで永遠に閉じ込められたその骨は、きっと誰かにとっての「贅沢な骨」になるのかもしれない。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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Mamiko Kikuchi年の差の恋を描いたものがたり

 

恋の持続力は男の人の方が少し長いのかもしれない。
ほとんどが、おじいさんになっても若い女の子とデートしたいとかイチャイチャしたいとか考えてる。
その点女はいくつも段階があって、都度好きになる対象が変わっていくことが多い。
女の中にはいくつもの顔があるのかも。
今回のテーマはうんと年上の男の人と、若い女の情事のあれこれを描いたものがたり。
この手の作品は結構多い。
男の人が若い女の子が好きなのは、自信を持ちたい故の支配欲とか、もしくは単純に若い裸が見たい性だったりするもしれないけれど、
若い女が年上の男の人に体を許すきっかけの多くはきっと好奇心と刺激のため。
知らない世界をいつも見てみたいっていうアンニュイな気持ちから始まるだけ。
そのぎこちない互いの愛がこの世界に永遠に閉じ込められるのか、それとも残酷に壊れてしまうのかはきっと愛し方次第。

哀しみのトリスターナ

公開年:1970年
製作国:フランス/イタリア/スペイン
監督:ルイス ブニュエル

 

好きとか嫌いとか、愛してるとか憎んでるとか、そんな気持ちの事がよく分からない時に男の人を知ってしまう。
成熟した少女が多いフランスの映画では、そんな若い少女とおじさんの奇妙なラブストーリーが多い気がする。
これも、お下げ髪の清純なトリスターナが、聾唖の青年にスカートをめくられて恥じらうシーンから、ベランダのポーチでガウンの中を見せるまでの時間を描いた物語。
そしてこれは年の差とおじさんの下心が招いた悲劇の物語。
女は何も知らない無垢な状態で手篭めにしたい。優しく保護して、抱きしめれば一生自分のものになるって信じてるのならホントに愚か。
ルイス ブニュエル監督らしい変態性も相まって、若い女に溺れた老人の悲劇をなかなか強烈に見せつけてくれる。

17歳の肖像

公開年:2009年
製作国:イギリス
監督:ロネ シェルフィグ

 

これは、これから女性になる全ての少女への教科書。
17歳の年齢はとても危うい年頃だ。
アクリルのように透明感のある少女らしさは反発と葛藤があるから輝く。
そんな時に密やかに嘘をひそんでいそうな世界にが目の前に現れたら、今まで見せられていた退屈な人生は偽りだったんじゃないかと思ってしまう。
遅くまでダンスを楽しんでお酒を楽しませてくれる遊び人の大人の男性がステキに見えちゃったりして、自分が特別な存在になれた気にさえなって。
まだ幼いジュリーがこの不安と好奇心の狭間で飛び込んだ大人の恋はとても痛々しい結末を迎えるのだけど、女が自分の意思をもって賢くなってしまう一歩手前の頃、こんなビターな恋愛が女の子には必要だったりするのだ。

娚の一生

公開年:2015年
製作国:韓国
監督:廣木隆一

 

大っ嫌いとか、イライラするとかそういう気持ちはじっくり見つめたほうがいい。
その気持ちには0.数パーセントの気になるが隠れていて、それはいつしか「好き」にかわるかもしれないから。
「嫌い嫌いも好きのうち。」
昔の人は上手いことを言ったものだ。
説明できないモヤモヤしたもどかしい感情は、知らないうちに絆のようになってしまうこともあるからね。
図々しくてムカつくのに一緒にいるとなんだか安心しちゃって、居ないとなんか物足りなくなる。そんな居候の52歳 独身男をトヨエツが抜群の存在感で演じて、しかも小出しに大人のセクシーを押し出してくるから、最後はこのつぐみと同じ気持ちでこの男が気になって仕方なくなる。
あんなエロく愛撫できるのは、渋いおじさんだからなんだろうな。

エレジー

公開年:2008年
製作国:アメリカ
監督:イザベル コイシェ

 

どの道、人は傷つかずにはいられないのだから、今目の前の芸術に心震わせて残りの人生を生きればいい。
老年の教授の心を動かしたヒロインの女学生を演じるペネロぺ クルスは惜しげもなくヌードを披露したが、乳房も、うつぶせに寝る彼女の腰からお尻にかかるラインもまさしく芸術品のようでうっとりとしてしまう。
病気によって欠けた身体で目の前に現れたコンスエラのに涙を流すディビットに、「まるであなたより私がずっと年上のようだわ。」とやさしくなだめる彼女の凛とした姿は完璧なカラダだった頃よりずっと美しい。
男は死を目前とすると不安にさいなまれ、おびえ始めるけど、女は死を目前とすると生命力を増すのだろうか。
人間のエロスを描きながらもなぜだかとても上質な気分にさせられる作品。

公開年:2001年
製作国:韓国
監督:キム ギドク

 

何というエロチックな寓話なのだろうか。
揺れる海原に築かれた老人と少女2人だけの特別な世界を観ていると、だんだんも地上の常識や法律は無意味なものに思えてくる。
ピンと張った糸で弾く音色は人々の心をうっとりと癒すのにそれが一本でも緩まったとたんにその音程を狂わしてしまう。
朽ちていく老いた命と、日に日に輝く若き命の歪みを埋める事ができるのは天の神のみで、老人は一縷の望みを胸に天に弓矢を放ち、天の許しを請う。
初めは生理的に無理だと感じたストーリーなのに、船上で気高くも交わす2人の婚礼の儀式に諦めとも圧倒とも近い複雑な気持ちで私は画面を見つめていた。
少女役のハン ヨルムの原始的な色気がこの作品をより神秘的に彩って、極上の年の差ラブストーリーに仕上がってなんとも言えない余韻を残す。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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Mamiko Kikuchi女の子

 

小悪魔ちゃんってどんな女の子を思い浮かべますか?
男の子をだまして、意図的に翻弄してしまう小悪魔の女の子なら、この世にたくさん溢れているけれども、わたしの考える小悪魔はちょっと違う。
ただただ自由に、ひたすら無邪気にありのままで生きてるうちに、本人が気がつかないうちに男の子が壊れていってしまう。
そんな女の子がホンモノの小悪魔なんだと思う。
今回紹介するのは、そんな風に自分が小悪魔だなんて全く気がついていないような女の子たちの物語。
こんなのが本当は一番厄介だけど、私が男の子だったら一度くらいは通過してもいいのかも。

キャンディ

公開年:1968年
製作国:アメリカ/フランス/イタリア
監督:クリスチャン マルカン

 

まるで、男の人たちの妄想を現実にしたような、元祖エロカワな女の子、キャンディ。
大きなおっぱいと、まつ毛ぎっしりの瞳。
まるでバービー人形みたいなキャンディは、で物欲しそうに男の人たちをぼーっと見つめてしまうものだから、ついついみんな勘違いしちゃって彼女のまわりには癖の強い男たちばかりが次々と。
これは小悪魔?というより彼女の場合はほんとに天然のおばかさんなだけかもしれない。
「しかたないわねぇ」ってついついエッチを受け入れちゃう貞操のなさにきっとフェミニストたちは眉をしかめるだろうけど、彼女は男の人の理想の天使。
こんなエッチでかわいい女の子がもっとたくさんいたら、世界はもっと平和なのかな。

月曜日のユカ

公開年:1964年
製作国:日本
監督:中平康

 

誰とでも寝る。
でもキスはしない。
主人公のユカははとても身持ちがゆるいけれど、なぜか嫌な感じがしない。
それはきっと彼女の行為に計算がないから。
純粋にただ男の人を喜ばせたくて、笑顔が見たくて
お人形のような愛くるしい顔で微笑み、身体を与える。
男の人を喜ばすそのために自分の愛くるしい若い顔や身体が必要で奔放に生き過ぎて
そのことがたったひとつの大切な人を知らない間に傷つけることを知らないまま・・・
おしゃれでポップだけど、ラストで胸の奥がギュッと苦しくなってしまう恋を知らない女の子のお話。

ひなぎく

公開年:1966年
製作国:チェコスロバキア
監督:ヴェラ ヒティロバ

 

悪いことがしたい。
とっても悪いこと。
真面目くさった大人たちが不快に思ういたずらをかたっぱしから犯してみたい。
と、公開当時にチェコでは発禁になった問題作。
倫理観なんかとっくに崩壊して、人の迷惑なんて何それおいしい?みたいな感覚の2人の女の子たち。
おっさん騙して奢らせたり、ベットのシーツズタズタにしたり、、ため息つくほど悪いことばかりだけど、これは社会のアンチテーゼなのかも。
声あげても聞き入れてもらえなくて、反抗を表現するには壊れながらアピールするしかない。
そんな時代に生きた若者たちの叫びの形が、このはちゃめちゃな彼女たちなのだとしたら・・・彼女たちの奔放さも違ったものに見えてくるかも

500日のサマー

公開年:2010年
製作国:アメリカ
監督:マーク ウェブ

 

THIS IS NOT A LOVE STORY.IT IS A STORY ABOUT LOVE
と、冒頭に。
甘くてかわいいラブストーリーなんか期待してしまったら怪我してしまう。
突然かわいい子にキスされて流れでエッチして、おしゃれなデートしたら一気に将来のことなんか想像なんかして。
なもう相手は横に居なかったなんてよくあるもの。
恋って、簡単でそこらへんに転がっているようだけど、それをうまく稼動させるのって実に難しい。
片方が突っ走ってしまってもう片方が取り残されたりして歯車崩壊。
いわゆるこれは恋の哲学。
そしてこの物語はみんなが必ず経験する
「運命じゃない恋」
サマーってとっても身勝手だけど、胸に手を当ててみればみんな必ずサマーのように誰かを傷つけたりしてるのかも。

さんかく

公開年:2010年
製作国:日本
監督:吉田恵輔

 

ここに出てくる小悪魔ちゃんは、主人公でも主人公の彼女でもなくて、「彼女の妹」のこと。
同棲してる彼女の元に突然現れた彼女の妹は、舌ったらずで上目遣いで、妙に可愛らしい。
そして同じ屋根の下で過ごすことに妙に興奮しちゃった主人公がはまったドツボ。
これは厄介だなぁーと、観ているこっちも頭ぽりぽり掻きたくなるほどに妙に色気がある桃ちゃんを演じたのは元AKBの小野恵令奈さん。(当時はまだ中学生)
年甲斐もなく、大の男がまだほんの子供の興味本位の遊びに翻弄されるなんてバカみたいだと思いつつ、これは仕方ないのかもと納得してしまう、日本人の女の子っぽい可愛い小悪魔ちゃんの登場である。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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Mamiko Kikuchi美しくて優しい不思議な三角関係

 

同性愛を描いた作品は数あれど、わたしにはいくつか好きなパターンがあってそれはゲイの男性と女性との、性を超えた友情だ。
女の子になんでも相談に乗ってくれる親友がいるように、気持ちが女の子に近いゲイの男性にだって女の子の友達必要なはず。
繊細に生きる、彼らの心の傷を時に恋人のように、そして時には母親の如く癒してくれるそんな存在が何よりありがたかったりする。
そんな女性たちの姿もまた美しくて、こんな女性たちにいつも憧れてしまうのだ。
今回はそんな女性たちの姿が光る作品たち。
どれも大好きで仕方ない私の宝物

わたしはロランス

公開年:2013年
製作国:カナダ/フランス
監督:グザヴィエ・ドラン

 

世界の全てが彼らのもののようにパステルカラーに輝いている2人の恋物語は突然のロランスのカミングアウトによって終わりを告げる。
男とセックスしたいのと、女になりたいのとはイコールでは無い。
女になりたかった男の運命の人が女性であることだってある。
初めて会った時、凄いことが起こると思ってた。
ずっと一緒にいたいと思った。
互いを尊敬してかけがえのない唯一無二の愛の形。
自分が壊れても相手を尊重するなんてとんでもない深さの愛を見た。
愛する人を愛し続けたら精神が崩壊するのに、愛する人に会えないとそれはそれで崩壊する。
簡単な方程式では解き明かせない愛の物語をドランの見せたい世界観が素晴らしすぎて
168分の長編映画だけど、苦しいけど、ラストに行くにつれてまだ終わりたくないと本気で思った。
ずっとフレッドとロランスの紡ぐ物語を見ていたいと思ってた。
そんな作品。

シングルマン

公開年:2009年
製作国:アメリカ
監督:トム・フォード

 

ファッション界の第一線で活躍し続けているトムの初監督作品。
隙のない美学を持ったクリエイターだからこそ生み出せる美しい映像とシチュエーションにこだわった作品。
激しさや泥くさい人間模様の見せ方は皆無なので、ダークサイドを描いているのに見心地が良い。
描かれるのは恋人を失った哀しみから解放される為に死を決めた大学教授の長い一日。
死を意識した時から人は日常の何気ない光景や関わった人々の心が美しく感じてしまうこともある。
喪失感と罪悪感、そして人生への未練。
そこに際立ってくるのがジュリアン ムーア演じる女友達チャーリーの包容力のある存在感がこの物語唯一の温もりだった。
傷ついて、後戻りが出来なくなっているジョージを自分の存在では癒すことができない・・・
そんなもどかしさがチャーリーの表情から見て取れるから無性に切なくなってしまう。
きっと、チャーリーはまだ彼を愛しているのかもしれない。

渚のシンドバッド

公開年:1995年
製作国:日本
監督:橋口亮輔

 

愛した彼は自分の事を友達だとしか思っていなくて、彼の見つめる先は自分と全く違うあの娘。
一緒にいてとても楽しくて、幸せだからこのままでも良い気がする。
でも、彼の「好き」の視線が僕を通過して、彼の心は別の誰かに釘付けになる。
そわそわして、嫌われたくないから友達のふりをして。
思春期のゲイの少年が抱えた苦しみがたくさん詰まった閉塞感。
もう苦しくて想いを全部伝えなくちゃ壊れてしまいそうになった時、助けてくれたのは彼が愛するあの娘だった。
到底敵わない恋のライバルだと思っていたのに、自分のことを1番理解してくれた少女。
夕暮れの海辺で少女に借りた真っ白なドレスを着た少年の姿はまるでウェディングの花嫁さんのようでそれだけで報われた気持ちになる。

プルートで朝食を

公開年:2005年
製作国:アイルランド/イギリス
監督:ニール・ジョーダン

 

悲劇の連続なはずなのに、最高にハッピーマインドで愛おしい主人公が幸せな気持ちにさせてくれる作品。
トランスセクシャルな問題に排他的なアイルランドの田舎に住む孤児のパトリック(パティ)が描きなが母を訪ねて三千里@ロンドン。
愛した男は幾人もいたけれど、その思いはいつだって満たされることはなくて、
幸せなんて手を伸ばしてもいつだってスルリと抜けて掴むことはできないけど、振り返れば追いかけてくる月みたいに、パティを諦めさせることはないその力強さに心が動かされてしまう。
パティの頼もしい程のポジティブなパワーは親友であるチャーリーを包み込こんで、2人の奇妙な家族関係がスタートする。
チャーリーが少女の頃描いたひそかな恋心はいつしか深い友情と形を変えて、「もう何も怖くない。」
と言わんばかりに、波乱万丈なんのこれしき、楽しそうにお尻を振って歩くパティの姿に私はもう女としても完敗。

彼の見つめる先に

公開年:2014年
製作国:ブラジル
監督:ダニエル・ヒベイロ監督

 

匂いとか、手触りとか、声とか、感覚で感じ取れるものは、目で見て色々考える手間が省けるだけ実はもっと正確なものなのかもしれない。
深い絆で結ばれた男女の幼なじみのジョバンナとレオ。
恋愛関係になるには、2人はあまりに近過ぎて、一心同体のようになってたから離れ離れになることは考えてもなかった。
そう、あの日までは・・・
まだ成熟していない少年少女の「嫉妬」はとっても複雑。
恋心なのか、それとも友人としてのものなのか分かんないままに、2人の間に割って登場した魅力的すぎる転校生ガブリエルの存在がジョバンナとレオの関係を揺るがしてしまう。
いつか誰かと優しいキスをしたい。
恋の苦さも一人前に味わいたい。
そんな思春期の少年少女が抱く想いを丁寧に見せながら、失ってはいけない大事な物を気付かせてくれるビターな三角関係の物語

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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Mamiko Kikuchi和装に感じるエロティック

 

日本人として生まれて良かった事の一つに、和装がある。
特別な時にしかほとんど着ることのない着物だけど、私の祖母は着物をとても愛していて、着物がいつも身近にあった。
幼い頃、祖母に連れられて横浜のとある反物屋さんに行った時の記憶。
おそらく20代後半くらいの透き通るような白い肌をした女性が、着物の試着をちょうど終える所で、目の覚めるよう刺繍帯を威勢よく外して、一瞬で生成りの肌襦袢一枚になった。
その瞬間がとても艶やかで、色っぽくて、まだ少女だったのに、何故かドキドキが止まらなかった。
私がもしも男だったら、もしくは同性愛者だったらあの時の残像のせいでこの歳になっても和装美女の面影を今でも追い求めていたに違いない。
あの女性の顔は、もうすっかり忘れてしまったけれど、あの後ろ姿のせいで、不謹慎だけどやっぱり私は和装にエロティックさを感じてしまう。
今回はそんな私が昔から憧れてやまない和装美女の登場する珠玉の日本映画たち。
日本文学と、巨匠監督たちのクリエイティビティに芳しい色香を添える、美しき女優さんたちを見て、どうか日本の美を思う存分堪能してほしい。

墨東綺談

公開年:1992年
製作国:日本
監督:新藤兼人

 

日本の風俗を知り尽くした文豪、永井荷風の日記を基にした美しくも官能的な作品。
障子をバックにした置屋での遊女との性交シーン、白く透き通るような日本女性の美を体現した墨田ユキさんの姿は脳裏に焼きつく。
銀座カフェーで女を口説き、雑司が谷の花街でお気に入りの遊女を楽しむ。
されど自宅では侘しく1人でご飯をお茶碗にのせる。
しかしその1人の寂しさ、切なさが一層女たちを求める情熱と繋がり、彼の筆を走らせる。
肉欲が衰えるにつれ、芸術が衰えるという老いの嘆きは何かを生み出す人誰もがぶつかる壁。
悲しきかな芸術と、欲望は表裏一体なのだ。
家族を持つことを恐れて、孤独を愛する彼らしい一貫した生き方、そして死に様はある意味凛としている。
永井荷風の役がぴったりはまった津川雅彦さん。
あまりにぴったりだったから、この作品が単なる官能映画にならなかったのだろう。
そして墨田ユキさんの透き通るような肌が、日本女性の美を彼女が全て体現している。
是非海外の人にも勧めたい至極の和装エロテック作品。

嗤う伊右衛門

公開年:2003年
製作国:日本
監督:蜷川幸雄

 

愛おしくて、愛おしくて、私ははついに祟り神のようになってしまった。
あなたが幸せになれなくて、
恨めしい。恨めしい。
運命に導かれた2人の魂は、疑念や嫉妬に満ちたこの世の中ではうまくはまらないことが多い。
惹かれ合うのに、口を開けば卑屈な言葉がこぼれ落ちてしまう。
あと何回生まれ変われば2人はちゃんと結ばれるの?
愛おしいあなたと結ばれるためなら何度死んでも怖くない。
愛する人が狂ってしまったのなら、いっそのこと共に狂ってしまえばいいだけだから。
憎しみに満ちた、怖ろしき四谷怪談に、京極夏彦氏が大胆な解釈を与え蜷川幸雄監督が映像家した大胆なこのラブストーリー。
男に抱かれたことのなかったお岩が、伊右衛門に出会い、はじめて女の喜びを堪能するシーンはとてもエロテックで、今思い出してもドキドキする。
現世で何度も何度とすれ違い、世間に融合できないままに恨めしくこの世を去るのは、悲劇だけど、潔く棺に収まる2人の姿がこの物語のハッピーエンドだと呼ぼうと思う。

美しさと哀しみと

公開年:1965年
製作国:日本
監督:篠田正浩

 

昨年亡くなられた八千草薫さんの30代半ば頃に主演された川端康成さん原作の作品。
まさか、八千草さんこんな妖艶なラブシーンを演じた過去があったことに驚いた。
しかも、寝込みを襲うのはなんと見目麗しい弟子、けいこ役の加賀まりこさん。
憧れが、いつしか恋に変わり、それでも過去の恋を忘れられない音子(八千草薫)への嫉妬の情念に駆られて耳を噛む。
「痛いわ。」
眉をしかめて身体を捻る音子。
「だって、痛いように噛んだんですもの。」
と、けい子。
ラブシーンまで、どこまでもお上品で、こんな美しい女性同士のラブシーン、今の時代じゃ出会えない。
音子たちの住む京都の枯山水庭園と、それを望むお寺のように縁側の続く和室とその暗闇に置かれる和装の2人の美しさは国宝レベル。
ラストの悲劇はこれらの美が永遠でなくなってしまうことを示唆する。
目をつむっても美しいけい子のたっぷりとしたまつ毛が余韻を残していた。

双生児 GEMINI

公開年:1999年
製作国:日本
監督:塚本晋也

 

江戸川乱歩はいつも淫靡なエログロの世界と隣り合わせ。
一方、映画監督 塚本晋也の世界もいつもアブノーマルな香りが立ち込めている。
これを観たのはもうずっと昔だけど、まだこの不気味で奇妙な世界は他の日本映画にはなかなかない。
哀しみと憎悪に満ちた絶望的な物語なのに、なぜかわたしの頭の中にへばりつく。
その理由は何と言ってもこの登場人物のアバンギャルドなビジュアルでしょうか。
剃られた眉毛と、切れ長の猫のような目をした本木雅弘さんとりょうさんが
人間なのに、この世のものとは思えない不気味な雪雄とその妻リンの姿で魅了する。
和装エロティックの作品として挙げたもののこの作品で圧倒されるのはりんが着物を脱いで川縁で行水をするシーン。
まるで砂時計のような美しいシルエットのリンの裸の後ろ姿に私が少女の頃に見惚れたあの和服美人の残像と重なった。
芸術品のように美しい、その身体を分厚い生地で幾重にも重ねて、着るもののエロスも、陰謀も全て覆い隠す。
そんな着物が日本の秘めやかな美がより一層欲望を掻き立ててしまうに違いない。

陽炎座

公開年:1981年
製作国:日本
監督:鈴木清順

 

とんでもなく淫らなのに幽玄的で美しい、巨匠 鈴木清順監督の浪漫3部作の2作目。
和装でのセックスはここまでに芸術的だったと知ってしまった作品でもある。
謎の鬼灯の女、追っても追ってもするりと指の間をすり抜けていくあの着物の女。
どうやら鬼灯は女の魂らしい。
悪戯に鬼灯の実を他の男につけたら、その男と女は離れられなくなる運命となる。
幻か現か、夢うつつの愛の交わりその後に、女の姿は不確かになった。
男が女を無心に追い求めるにつれて、抜け殻のようになっていく。
運命の女はいつだって男の前から突然消えるのなのだ。
艶やかな女の唇から飛び出る鬼灯の実は艶々に濡れていて、ただそれだけなのになんだか観てはいけないものを見せられている気分にさせられた。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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Mamiko Kikuchi鬱屈した気分を吹き飛ばす、元気がもらえる作品

 

こんな時期なので、エロスのテーマを一旦無視してなんか明るい映画を!との事で真っ先に思いついた6作を挙げてみました。
いつもは、一つのテーマからなるべく色んな国の作品を思い浮かべてみるのですが、ポジティブなエネルギーに包まれてスカッとするエンディングに導いてくれるのは、大体アメリカやインド作品なことに気が付きます。
普段はヨーロッパやアジアの作品のふんわりしたエンディングが嫌いではないけど、めちゃくちゃ落ち込んだ時はやっぱり清々しい終わり方をしてくれる方がありがたいですよね。
6作目はどうしても外したくなかったオールタイムマイベストのシリーズもの邦画を入れてますので、時間ある方は是非♪

フォレストガンプ

公開年:1994年
製作国:アメリカ
監督:ロバート・ゼメキス

 

コロナ発症と隔離から見事無事帰還したトム・ハンクス氏、ほんと良かった!
そんなトムが2度目のアカデミー賞主演男優賞を受賞した有名すぎる作品。
周りからバカにされていた少年が、無垢な精神で人生を突き進み、次から次へと奇跡を起こす。
ひとことで言えば、その人生を丸々っと描いたお話なのですが、親子愛、ラブ、友情、戦争、仕事、子供の何もかもが詰まっていて、人間不可能なんか何にもないと思わせてくれる。
いい映画を観た後ってほんとに気持ちがよくって人生得した気分になるけどこれはこの筆頭かな。

リトルミスサンシャイン

公開年:2006年
製作国:アメリカ
監督:ジョナサン・デイトン/ヴァレリー・ファレス

 

人間ってすごく脆いけどもそれ以上に力強いって思わせてくれた負け犬家族の再生物語。
人間「努力すれば必ず報われる」って言うけど、実際そんなに甘くはない。
どんなに頑張っても、どうしよもない理由でその努力が一瞬で水の泡になることもある。
でも、そこからどう自分を再生させるかが問題。
どんなに泣き喚いても、暴れても時は絶えず流れていて、それでも生きていかなきゃならないから。
最後のシーンはハチャメチャで笑えるはずなのに、なぜか涙がとまらなくて、笑い泣きしながら元気もらえる作品です。

イエスマン ”YES”は人生のパスワード

公開年:2008年
製作国:アメリカ
監督:ペイトン・リード

 

笑いは免疫力上げるから、これは是非とも観て欲しい。
ポジティブで明るい世にも奇妙な物語
ジムキャリーのコメディー映画ってどれも、顔芸ありきですがこの作品も、割と顔芸炸裂!
勿論嫌なものにはノーも言いたいけど、めんどくさいと思ってたものにイエスと言ってみたらなにかまた人生の流れって変わってくるのかな?
何もかも忘れて笑っていたい時、何か気分を変えたい時はこれを観たくなる作品です。

PK

公開年:2014年
製作国:インド
監督:ラージクマール・ヒラニ

 

とんでもなく淫らなのに幽玄的で美しい、巨匠 鈴木清順監督の浪漫3部作の2作目。
和装でのセックスはここまでに芸術的だったと知ってしまった作品でもある。
謎の鬼灯の女、追っても追ってもするりと指の間をすり抜けていくあの着物の女。
どうやら鬼灯は女の魂らしい。
悪戯に鬼灯の実を他の男につけたら、その男と女は離れられなくなる運命となる。
幻か現か、夢うつつの愛の交わりその後に、女の姿は不確かになった。
男が女を無心に追い求めるにつれて、抜け殻のようになっていく。
運命の女はいつだって男の前から突然消えるのなのだ。
艶やかな女の唇から飛び出る鬼灯の実は艶々に濡れていて、ただそれだけなのになんだか観てはいけないものを見せられている気分にさせられた。

ヘアスプレー

公開年:2007年
製作国:アメリカ
監督:アダム・シャンクマン

 

何かポジティブなエネルギーに包まれたければコレを観て欲しい。
これはとにかく明るく、HAPPYなミュージカル。
この主人公のトレイシー役のなんとかわいらしいこと。
他に出てくるステレオタイプの金髪美少女がなぜかかすんで見えてしまうから不思議。
そしてこの物語の魅力は、アメリカに根強く残る黒人差別問題という重いテーマをかざしながら、あくまで、ハッピーに、そしてファニーにダンスと歌で仕上げてしまったこと。
人種差別なども含める重いテーマもあるけれど描き方はあくまでポップ。
歌とダンスはあっという間に人を変えてしまうことのできる魔力だなと感じた映画でした。

男はつらいよ 全50作

公開年:1969年〜2019年
製作国:日本
監督:山田洋次

 

実を言えば、他のどんな作品よりも幸せな気持ちになるために何よりおすすめしたい映画作品だと、どうしてもこのシリーズが外せない。
去年12月に公開された「おかえり寅さん」を含めば全50作ある、ギネスにも認定されたロングシリーズ。
好きな映画を挙げれば、キリがないけど、この全50作全てをまとめて一つの作品だと捉えれば、年月も含めてこの作品の素晴らしさは格別。
私にとっては「映画」というカテゴリーより、元気になりたい時に必要な「心のサプリメント」かな。
外出自粛でもし時間余ってたらどうか寅さんのために時間を下さい。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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Mamiko Kikuchi少年たちの性の目覚めを描いた作品たち

 

大人になるまだずっと手前の少年時代。
でも心躍る誰かに出会って、体に電気が走っってドキドキしてしまう。
それが恋なのか何なのか答えが分からなくても、身体が反応してしまうそんな時期が必ずある。
この世にはそんな少年時代の性の目覚めを描いた映画が数え切れないほどあって、この類の映画は殆どハズレがない。
それはかつて少年だった監督たちが大切な記憶を辿り寄せて、宝物を見せるかのように作品を作り出すからだろう。
私は少年にはなったことないけど、よく映画のを通して自分が経験できなかった少年の想いを追体験する。
そうすると観終わったあとはしばらくの間全く違う気持ちで世界が見えることもあるからこの手の作品は観るのをやめられない。
少年だった人は遠い少年を呼び戻して、そうじゃない人も新しいココロで、是非ともこの極上の少年時代の物語を堪能してほしい。

マレーナ

公開年:2000年
製作国:イタリア/アメリカ
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ

 

太陽が照りつけるあの道で、僕は初めてこの目で女神を見た。
僕が恋したあの人はいつも一人きり。
だけど僕はただ遠くから見守るだけ。
もし僕がもっと大人ならば、彼女は僕に振り向いてくれたのだろうか?
12歳の僕は、初めての大人の香りを胸にしまうしかできないけれど、彼女が初めて僕に微笑んだあの瞬間は僕だけのもの。
少年の性の目覚めの瑞々しさに、大人の醜さを対比させ、少年レナートの甘酸っぱい妄想恋愛を生々しい思い出に発展させたこの物語。
マレーナ役のモニカ・ベルッチのセクシー登場シーンは映画史にも残る神々しさで、画面からはみ出るほどのモニカの妖艶な魅力に酔ってしまいそうになった作品です。

おっぱいとお月さま

公開年:2014年
製作国:スペイン/フランス
監督:ビガス・ルナ

 

聞いてよ、ぼく恋をしたんだ、おっぱいに。
弟におっぱいをあげるのが忙しいママは嫌い!
直接的すぎるタイトルですが、これは涙を集めるのが好きな踊り子のおっぱいに恋をした主人公テテのお話。
彼女のおっぱいを見ながらミルクを買うテテ。
ライバルのミゲルが求めるのがパンティなら僕はブラジャーだってはちゃめちゃな理論を振りまくテテ。
真っ直ぐに、淀みなくこんなにおっぱい一直線なのは愛おしすぎる。
ふざけてそうで、ギリギリふざけてない、バカ真面目に大好きものに向かう姿はとても真っ直ぐで、愛おしい。
言うなればおっぱい好きのためのお伽話。
めちゃくちゃおおらかそうなスペインとフランス女性の大胆な脱ぎっぷりに、おおらかで幸せな気分にさせられます。

ハートストーン

公開年:2016年
製作国:アイスランド/デンマーク
監督:グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン

 

海から上げられたまま腐っていく魚たちのように、心の中に芽生えても誰にも気づかれることのない感情がある。
だだっ広い自然と、果てしなく広がる海に囲まれた村なのになんという閉塞感。
キスゲームしてた少年少女たちを生き生きと見せる前半と、閉じ込めた感情あふれだす後半は全く違う印象の物語。
アダムとイブが聖書の綴られた時代から、男と女が組み合わさるのが人間の必然のようにされてきたけど、じゃあ男同士、女同士の性愛はいつどんな時に目覚めるの?
自分のことは自分が一番わかるなんて思うのは人の驕りで、自分のことは自分が一番知らなかったりするものなのかも。
性の目覚めをここまで切なく描いたのものが未だかつてあっただろうか?
思い出すだけでも、また胸の奥まで苦しくなる、アイスランドの小さな恋の軌跡。

ミルクマネー

公開年:1994年
製作国:アメリカ
監督:リチャード・ベンジャミン

 

ママを知らない少年=おっぱいを知らない少年フランクは、友人達とお小遣いかき集めて自転車で町に行き、娼婦におっぱいをみせてもらおうと計画するのだけど、それがとんでもない奇跡を生むことに!
それにしてもこの年代の女体への執着は半端ない。
この少年期の女体への欲望というものこそ、素晴らしいドラマを生むきっかけもあるんだってことも教えてくれるこの物語。
「好奇心」と「大好き」がうまくハマって、化学反応見たいに新しい「愛」が生まれる瞬間があるんだね。
それにしてもこの作品で娼婦を演じた、メラニー ・グリフィスが、めちゃくちゃエロくて、可愛らしくて、ユニークで最高すぎた!
魅力的な彼女に癒されながら、少年たち素敵な青春を一緒に楽しませてもらえて、幸せ。何度でも、観たくなる幸せな作品。

ペンギンハイウェイ

公開年:2018年
製作国:日本
監督:石田祐康

 

悔しい、ほんと悔しい。この作品を観るまではこんなに自分が少年時代を通過してないことを悔しく思った事はなかった。
なぜなら楽しい作品だけど、もし私に少年時代があれば、この何倍も楽しめたかもと感じたから。
普通の住宅街に突如と現れるペンギンたちの行列。そのペンギンハイウェイの謎を解くために、青山くんは仲良しのお姉さんのおっぱいについて研究をこっそり始める・・・
こんな風にあらすじ書くと訳わかんない内容なのに、観てるうちにこの不思議な町に一気にトリップさせられて、なかなか出られない。
わけわかんないままに、この不思議な冒険物語が楽しすぎて何故か最後は泣いてしまったのは、私の前世に、少年だって頃があったからなのかな?不思議。
もしもあなたに年上のお姉さんに憧れた少年時代があったなら、きっと心の琴線に触れてノスタルジックな気分になれるはず。
遠い夏にわたしもこんな冒険の思い出があったのなら、もっと立派な大人になれてたのかな?

 
 
 
 
 
 

vol.14以来の登場のMamiko Kikuchi。少年が性に目覚める時を切り取った5本の映画について女性の視点での批評です。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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Mamiko Kikuchi妖艶な美しさで魅了するヴァンパイアたちの物語

 

数あるモンスター映画の中で私が格別に好きなのが「ヴァンパイア」
人間とほぼ変わらない見た目だけど永遠の命と人間らしさを忘れてしまったその冷血さを持つ。その異様なアンバランスさと彼らの苦悩に惹かれてしまう。
人間には「愛」があり「限られた生」があるからこそ美しいのだと思うけど、それらがあるがゆえに「恐れ」がある。
しかしヴァンパイアにはそれらがないからこその「残酷さ」と「強さ」がある。
この残酷なほどの強さを携えて、人間の血を貪るその姿は生身の人間には到底真似できないエロティシズムすら感じるから、その神秘的で強烈な光のようなものに引かれてしまうのかも。
ここで紹介する何人かのヴァンパイアもそれぞれ全く異なる異様な光を放つ。
永遠の命への苛立ち、死の憧れ。
青白い肌で人間に苛立ち、そして憧れる彼らの世界を垣間見ることで、私たちはこの限りある生を慈しむことができるのかもしれない。

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア

公開年:1994年
製作国:アメリカ
監督:ニール・ジョーダン

 

私はあなたで作られた。
私はあなたのおかげで蘇った。
全く違う景色を見せてくれるあなたを尊敬しながら狂おしいほどあなたを憎む。
あなたがいなきゃこの世で生きられない。
けれどあなたさえいなければこんな苦しみを抱えることなどなかったのだから。
妻を失い絶望の果てに意図せずして吸血鬼となったルイと、ルイを吸血鬼にしたレスタト。
2人の関係は親子であり、親友でもあり、そして恋人でもあるその奇妙な関係は観ている私の心をざわめかす。
ブラット・ピットの血の気のない悲しげな美しさと、トム・クルーズの憎々しいまでな冷血さこれを観てこの2人にならヴァンパイアにされて欲しいと思った女性が世界中にどれだけ溢れただろうか。
トムの起用を反対してた原作者が、作品を観たときに大絶賛したという彼の他の作品とは全く異なるヴァンパイアぶりも必見です。

ぼくのエリ 200歳の少女

公開年:2008年
製作国:スウェーデン
監督:トーマス・アルフレッドソン

 

一面に広がる北欧の冬の世界。
印象的なのは鮮明な血が広がる降り積もった真っ白な雪景色。
この映画ほど寂しさの感覚が後引くものはあっただろうか?
観る前はヴァンパイア版小さな恋のメロディーかと思っていた。 でも愛らしいヴァンパイア少女の妖艶な姿を観たいという下心で挑むと痛いめに遭ってしまうから気をつけたほうがいい。
毎日空腹を満たすためだけの獲物を捜し、罪悪感も愛も忘れて、明日のために生きている彼女は「死」に最も近い「生」。
ヴァンパイアの吸血行為はそれ自体がセックスを意味するといわれているがエリの吸血行為はそれとは違う。
じらすことなく、獣のごとく血にむしゃぶりつく。 エリにあるのは人間に対する冷酷さと無慈悲さのみ。
少年は、そんなエリの世界に捕らえられ、逃げられない。
時代に取り残されながら密やかに、残酷に生きなければならない少女と少年の気の遠くなるようなサイクルを思うと、絶望的な気持ちでいっぱいになる、そんな作品。

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ

公開年:2013年
製作国:アメリカ/イギリス/ドイツ
監督:ジム・ジャームッシュ

 

オフビート感たっぷり。
ファンタジーなのだが、それでもジム・ジャームッシュならではダウナーな雰囲気がスタイリッシュな気怠さが漂う。
これはヴァンパイアの世界のアダムとイヴのお話。
このアダムは何世紀にもわたって死の音楽を作り出すミュージシャンでもある。
現代に溶け込んでひっそりと生き続けなければいけない彼らの苦悩がユニークに挿入されて、こうして観ていると「あぁーもしかしたらやっぱりヴァンパイアはこの世界のどこかに隠れているかも。」だなんて思わせてくれるリアリティもあったりする。
ジム・ジャームッシュはこれまでになかった現代のコマーシャルなヴァンパイアのラブストーリーを描きたくて、この作品を完成させるまでに7年を費やしたそう。
単なるスタイリッシュでクールなだけではない、たまにクスッとさせられる脚本も楽しみながら、他のヴァンパイア作品とは一味違った空気感を味わって見てほしい。

渇き

公開年:2009年
製作国:韓国
監督:パク・チャヌク

 

とにかく強烈!
30分ごとに展開が変わり、先が全く予測できずそのたびに感情をふりまわされる。
基本はエロスとグロ。
ラブストーリーにブラックな笑いを散りばめながら残虐なサスペンスも組み込んで、カオスの国へようこそ〜♪
もう観始めてしまったら後戻りできない。
苦悩の神父を演じたソン・ガンホの演技はもちろんだが、小悪魔なテジュを演じたキム・オクビンの演技がめちゃくちゃ魅力的。
影のあるワケあり系の女性から、性に奔放な官能的なイメージと変わり、やがて狂気のサイコパスへと変容していく様が同じ役柄とは思えない!
神父と出逢ったことで、死んだ魚のような目だったテジュが水を得た魚のように飛び跳ねて行く。
その存在はあっという間に主人公を凌駕するほどになってしまうのには驚かされる。
画面からでも血液が吸い取られそうなので、これから鑑賞する人は体調抜群な時に観てください。

ヴァンパイア

公開年:2011年
製作国:日本/カナダ
監督:岩井俊二

 

岩井俊二監督がほぼ海外キャストで魅せる異色のヴァンパイア映画。
破滅的で、少し奇妙な岩井監督らしいシークエンスは嫌いではないけれど、主人公を「現代の孤独なヴァンパイア」として美しく祀り上げるような描き方は正直あまり好きではないと思ってしまった前半。
しかし途中のレディバードとサイモンがヒルの毒を吸うエロティシズムを感じさせるシーンから、徐々にラブストーリーとしての輪郭が見え始め、その儚げに惹かれ合う2人の存在は羨ましいほど純粋で美しかったので気がつけば前のめりで画面に吸い付いていた。
木漏れ日の中でサイモンとレディバードが静かな森で彷徨うシーン、母親が白い風船に囲まれてピアノを奏でるシーン、マリアが窓辺でダンスするシーンなどはとても詩的で、いかにも岩井俊二らしい、幻想的な映像表現が光る作品。
ヴァンパイアというタイトルだが、これは絶望から生まれたラブストーリーなのかも。
万人受けはしないけど、余計なことは考えすぎず、ただ映像の中で彼らの孤独に寄り添えば、少しだけ彼らの世界を理解できるような気がしたラストでした。

 
 
 
 
 
 

VOL.16 以来の掲載になるMamiko Kikuchi。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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Mamiko Kikuchi性にめざめる女の子たち

 

性に目覚める時期って女の子は本当に幅広くて、小学生の子もいれば、多分高校生になっても目覚めない子だっている。
例えば誰かに片想いしても、少女まんがやドラマで観るプラトニックでさわやかな恋愛を夢見ることが殆どで、その相手の中に最初からセックスを想像していることなんてほぼないから。
なぜだかそういう訳で性の目覚めは初恋や異性の存在と全く別のところから始まる不思議な感覚。
今回紹介する映画の中の少女たちも、知らぬ間にムクムクと成長した「性欲」にどうにかして向き合って、泣いたり、苦しんだり、楽しんだりしてる。
なかなか見苦しいところもあるけれど、なんか彼女たちのことが愛おしくなるのは自分にとっても正直に生きてるからかも?

インフォマニアック

公開年:2013年
製作国:アメリカ
監督:ラース・フォン・トリアー

 

幼い時代から思春期までの美しく自分の価値を十分理解しながらありとあらゆる男とセックスすることを切望する。
それは時にそのセックスを友達とのゲームの材料にしてしまうほどに・・・
その女は自らをインフォマニアック(色情魔)と名乗った。
博学そうな老人は、偶然出会った女の過去のインフォマニアな人生に耳を傾ける。2人の会話はかなり深いところまで行くのに、2人の目的が違うので全く噛み合わないところがちょっとコメディなのだけど、そのシュールさがこの作品の良いところ。
VOL.2のような変態さは少なくって、こちらは主人公が性に目覚めた年頃を演じたステイシー・マーティンが本当にかわいいのでオススメ。
エグいほどのエロスはこの次のインフォマニアック人生は「インフォマニアックVOL.2」で楽しめます。

15歳、アルマの恋愛妄想

公開年:2011年
製作国:ノルウェー
監督:ヤンニッケ・シースタ・ヤコブセン

 

出だしから、ヒロインのアルマのとんでもない行為で始まる本作。
たった、15歳でこんな風になるかぁ?となるほどのとんでもない性欲だけど、それこそがもう偏見なのかも。
セックスしたくて妄想とまらなくてどうしようもない思春期の男子が何かしでかしちゃつお話はよくあるけれど、なかなかこんなエロな女の子を題材にしたお話は珍しい。
しかし、さすが北欧映画だけあって、こんなやばいのになぜか下品にはならずにギリギリのところでしっかりとオシャレで粋な青春ストーリーに仕上げてしまっている。
なんか不穏な空気になってどうなっていくのか全然読めなかったけど、なるほどそういう落とし前にしたか、、、。とニヤリ。
可愛くてなんだかいい感じの青春映画でした。

ビガイルド

公開年:2017年
製作国:アメリカ
監督:ソフィア・コッポラ

 

ピンと張った美しい水面に落ちた一つの雫の波紋が清らかな布に包んで隠されていた女たちの穢れた部分が徐々に露呈されていく。
張り詰めた静謐な世界で完結していた女子学生たちの真っ白い館に、ある時突然異物として投入された敵軍の兵士に少女から女たちまで欲望をこぼして、それはやがて狂気へと変化していくのだ。
感情を必死で抑え込むような女たちの表情に出さない静かな演技は繊細で美しく、どこまでも絵画の様に上品な映像だらけなのに描かれるのは女の闇深い怖さと、男の狡さと愚かさだけ。
嫉妬、裏切り、情欲をただ繰り返すこの結末はいかに?
まだあどけなさの残るエル・ファニングが、ゾッとするほどの魔性ぶりが際立った作品でした。

ヘイジーヘイジークレイジー

公開年:2015年
製作国:香港
監督:ジュディ・ロック

 

始まりはふんわりした岩井俊二風な世界を想像してたけど、出るわ出るわヌードやSEXシーン。
女の子たちの剥き出しの大胆さに、観てるこちらは心がざわついてしまうのだけど、でもふと思う。私も青春の想い出を、きれいなカプセルに詰めて全てキラキラ輝かせてしまってるだけで、ほんとは時に傲慢で、欲にまみれたり残酷だったりしたのかもって。
ティーンに差し掛かると有り余るエネルギーが発散できない閉鎖された世界で叫びたくなる。
人を好きになったり、親友が別の親友を作ったり、愛する人を横取りされたり・・・
色々あるのに、最後は平然と爽やかガールズムービーみたいに締め括る。
考えてみたら女の子の関係ってそんな感じで儚くみえてだんだんパワーアップしていく。
パンチ力ある作品だったけど、男の妄想するキラキラ清潔感ある女子高生たちのイメージ糞食らえ!って感じの過激さがなんか忘れられないガールズムービーでした。

ミニーゲッツの秘密

公開年:2015年
製作国:アメリカ
監督:マリエルヘラー

 

こじらせ思春期の妄想物語だと思ってみたら主人公のミニーが思った以上の性欲モンスターすぎて少し心配なミニーが主人公のお話。
バージン捨てたくて捨てたくてたまんないミニーが初エッチに選んだのが、なんとママの彼氏だからけっこう笑えない。
とにかく、思った以上にダメダメ中年男のモンローと、ミニーの愛のないセックス三昧は若干見苦しく、一体全体何を見せられてるのか?と不安になるほどだけど・・・
まぁ、まだ十代。いろいろ痛い目にあって、大切な人傷つけて分かることもあるよね。
因みに劇中ミニーの描くポップアートの世界はとてもかわいくって、バージンだったころの鬱屈したアートと、少し痛い目にあって経験したあとのミニーのアートは変わっていくのかもしれない。
展開がスピーディーでなかなか激しい内容だけど、なんだかんだで清々しくラストを迎えてくれて胸を撫で下ろしてます。

 
 
 
 
 
 

今回は「性にめざめる女の子たち」をテーマにした映画をピックアップしたMamiko Kikuchi。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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Mamiko Kikuchi美女たちが奏でるサスペンス映画たち

 

サスペンスとエロスは基本とても相性が良い。
それは人が急遽の行動に突き動かされる時、そこに愛欲が絡んでいることがものすごく多いからだ。
少々趣味の悪い話をすると、私は古今東西、時代問わず愛欲に絡んだ実際の事件について検索するのが好き。
その犯人たちの感情がどう生まれて何故その結末に向かうことになったのか気になってしまう。それなのに読み進めらうちに今度は少しずつ嫌な気持ちになって落ち込んでいく私。あー厄介。
そういう意味では映画のクリエイターたちはそんな事件たちをほどよく調理してくれて、あっとした仕掛けで満足させてくれる。
どうにかして感情を終焉に向かわせてくれるから後味も悪くない。
今回ここで紹介するのはどれも物語の中に美女が深く関わり、そのことでより作品が艶かしくなっていく。
ここにエロスが絡むとそれはより一層深まるわけで・・・
普通のラブストーリーなんてつまんないたまには刺激的なやつ欲しい!
そんな人には是非観て欲しい5作品です。

殺しのドレス

公開年:1980年
製作国:アメリカ
監督:ブライアン・デ・パルマ

 

夫とではもう濡れないとウンセラーに打ち明けた人妻が、その後美術館で出会った何者かに殺される。
まるでヒッチコックの『サイコ』のような始まりは、監督がオマージュしたものらしい。しかしそんなスプラッターシーンでさえもエロティックでスタイリッシュなのがデ・パルマのセンスの成せる技。
こちらの作品の見どころはプロットではなくデ・パルマの秀逸なカメラワーク。
そして本題から外しても無理矢理挿入してくる監督の嗜好の数々。
エロティックサスペンスだと、どうしても要らぬヌードが多い時もあるけれど、そのヌードを無駄なくテクニカル見せてきて、飛び散る血飛沫までもアートのようなそんな作品でした。

キリンングミーソフトリー 

公開年:2002年
製作国:アメリカ
監督:チェン・カイコー

 

いつもと変わらない日常。
でも、誰かが私を待っている。
そうやって何かを探していた私にとってあの時見つけた彼の瞳は、足を踏み外すのに十分だった。
首に結ばれたサテンの紐は信頼の証。
彼の意思一つで息の根も止められてしまう。
それは、世にも妖しい愛欲の世界。
中国の巨匠チェン・カイコーが大胆なエロス表現を盛り込んで放ったサスペンス。
私には運命の恋とは何なのかなんててんで分からないけれど、自分を大きく変える存在とは、長く人生を共にするべきではないのかもしれない。
ミステリアスな魅力たっぷりのジョセフ・ファインズのあのエキゾチックな瞳のせいで、私もヒロインのアリスと一緒ににこのアダムの作り出す独特な世界に巻き込まれていきそうになりました。

二重螺旋の恋人

公開年:2017年
製作国:フランス
監督:フランソワ・オゾン/span>

 

分裂していく 私の中の何かが・・・
向かい合わせの精神科の部屋で、挑発的に話し続けるクロエと黙って聴き続ける寡黙なポールとの診療はまるで高尚なセックスのようだと思った。
精神的なセックスと心理的なセックス
二つの欲望に上手く折り合いがつかないままずるずると双子のポールとルイとの関係に思い悩むクロエはいつしかルイの幻影にさえも追い込まれる。
鏡のシーンを多用した印象的なシーンをサブリミナルに挿入させて、フランソワ・オゾンらしいヨーロピアンで洗練された映像が魅力。
前半はミステリー、そして後半はホラー(少々グロ)となってまったく異なる印象となる心理的ミステリー。
全ての謎が解ける衝撃のラストより、どちらかというと、独特な色気を漂わせるマリーヌ・ヴァクトの美しさを愛でる作品という感覚で観る事をお勧めします。

クロエ

公開年:2009年
製作国:アメリカ
監督:アトム・エゴヤン

 

旦那の浮気を疑い、妻は美しく若い娼婦を雇いトラップを掛ける。
毒の混ざるその美しい唇に触れてもなお、探し求める真実の愛は見つけられず。
虚しさと安堵が同時に押し寄せる。
元となったのはフランス映画の『恍惚』。
魔性の女をアマンダ・セイフライドが演じているこちらはハリウッド版です。
ねっとりとしたサスペンスと思いきや、心理戦のような風合いも見せてくれるテンポの良いエロティックサスペンスとなっている。
ジュリアン・ムーア演じる妻と、アマンダ・セイフライド演じる雇われた娼婦クロエ、互いの想いが制御不可能になり、妖しく美しく深みにはまっていくのがこの作品の見どころの一つ。
娼婦クロエが時に少女のような無邪気な表情と、妖艶な悪女の2つの顔を見せ、圧倒的な存在感で引き込んでいく作品でした。

薄氷の殺人

公開年:2014年
製作国:中国
監督:ディアオ・イーナン

 

耽美的な世界観の中で描かれるのは残酷すぎる愛の形。
憂鬱でフイルムノワールを意識したような演出のこの作品はじめじめとした雨の日に観るのにはぴったりかもしれない。
血なまぐさいグロテスクさと、洗練された映像美の両方が味わえる独特な作品でもある。
迷宮入りのバラバラ殺人事件
儚げな美しさの被害者の妻と、彼女に魅了される元刑事。
鬱屈とした内容とはちぐはぐな電飾鮮やかな遊園地の観覧車の映像が田舎町に漂う不条理さを表しているよう。
 一筋縄では男女の情念がサスペンスとしての輪郭を曇らせる。だからサいっそのことメロドラマとして観るくらいの方が見応えがあるかもしれない。まるで爆竹のように、虚しく弾けるラストシーンが不器用にしか生きれなかった男女のやるせなさを物語っていた。

 
 
 
 
 
 

今回はサスペンス映画を5本セレクトしたmamiko kikuchi。
普通のラブストーリーなんてつまんない。たまには刺激が欲しい方是非鑑賞してみては?

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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Mamiko Kikuchi行き過ぎた愛のおはなし

 

映画の世界では、もう無数の愛の物語が毎日のように生まれている。
ありきたりのラブストーリーも別に嫌いじゃないけど、私はやっぱ。危険な香りがする、『愛の向こう側』を描いた物語が気になってしまう。
これから紹介する五つの物語は、始まりから行き過ぎた愛を見せるどぎついものもあれば、気がついたら行き過ぎた愛に絡まってしまっているものもある。
人間はまともな皮を被っていても、誰もが変態とは紙一重。愛し過ぎて、愛し過ぎて、自分の知らなかった一面が顔を出さないとも限らない、だから愛は魔物なのだ。

悪い男

公開年:2001年
製作国:韓国
監督:キム・ギドク

 

チンピラの男ハンギが、一目惚れした女子大生ソナに恋をした。これは、愛する女を自分の生きる世界に沈めることでしか関わる事ができない、虚しい男の残酷な愛の物語。
相手をボロボロにして傷つけることでしか愛を伝えられないだなんて理解できない、いや、こんなの理解できるはずもない。
行き止まりに立たされた女は、追い込んだ男を憎むか、愛するしか道はない。
女の立場からしてみたら、ホント最後までけしからんお話なのですが、これ何となく分っちゃうかもって人どれくらいいるのかな?非常に興味あります。

ブルーベルベット

公開年:1986年
製作国:アメリカ
監督:デヴィッド・リンチ

 

ヘンテコな空き地に切り取られた耳。
それは、若い純朴すぎる青年にはあまりにディープすぎる別世界への入り口。
いつのまにか動き始めたトライアングルに本当の愛のかたちは見えなくて、それぞれが何か別の代用品を探している虚しさが浮遊していた。
独特できわどくて、エロティック。
適度な嫌悪感を与えながらも、引き込むような映像と音楽の強烈な印象で観客を掴んで離さない。
全てのバランスが絶妙に合わさって観る側の記憶にこびりつくような印象を残す実に独特な作品。
こんなディープな不思議の世界から目を覚ますにはしばし時間が必要かも?

私が、生きる肌

公開年:2011年
製作国:スペイン
監督:ペドロ・アルモドバル

 

インモラルで狂気に満ちたすごい映画。
愛する妻に裏切られ、娘からは拒絶され、挙げ句の果てに失うというあまりにも残酷な喪失感を埋める為の狂気がロベルを生かしている。
でもどんなに愛する者の顔とそっくりな肌をかぶせても、魂の本質は奪うことはできない。
マッドサイエンティストによるフェティシズム溢れた変態性のある映画という解釈ならばこれは、間違いなく気持ちの悪い映画なのだけど、
しっかりとしたミステリーサスペンスのプロットで、「愛の向こう側」の世界にそれなりに意味付けをしてくれる。
間違った愛の形は、虚しさが残るのみ。
それでも人は愚かにも異常な愛に溺れたがるのだ。

ノクターナルアニマルズ

公開年:2016年
製作国:アメリカ
監督:トム・フォード

 

静かな中にも不安感を煽るような緊張感のある作品で、とにかく映像美にもプロットにも細部までこだわった、映画らしい作品といった印象だった。


主人公スーザンの完璧なブルジョワの生活の中に、突然元夫エドワードから送られた小説の世界が入り込み、観ている私もスーザンとエドワードの深層世界を行き来する感覚に戸惑いつつも、グイグイとその物語に入り込んでしまう。
『愛か復讐か?』というテーマだが、私としては、これを一生残る心の痣になりそうなエドワードからのどぎついスーザンへの復讐だと感じてしまった。
愛の向こう側には愛ではなく憎しみだけになることもありえるのだ。

彼女がその名前を知らない鳥たち

公開年:2017年
製作国:日本
監督:白石和彌

 

醜く、下劣な男と、その男に養ってもらう嫌な女の織りなす最低で行き過ぎた愛のおはなし。
ここの登場人物ほどではなくても誰もがみんな下衆な裏の顔を持っていて、その裏の顔を使って平気で人を傷つける。
知りたくないけど、知らなきゃいけない人間のいやーな二面性目が白押しで、究極の愛のお話なのに逃げ出したくなるようなどぎつさがラストまでとめどない。
この映画で特に印象的なのはご飯のシーンで、出てくる食事ごどれもこれも不味そうで極めつけな十和子と陣治の家焼肉のシーンなんかはかなりゾッとした。
シーンとして切り取ればなんともない風景なのに、やっぱり2人は普通じゃないんだと確信した。

 
 
 
 
 
 

vol.21以来の登場になるmamiko kikuchi
今回は「行き過ぎた愛のおはなし」の5本を紹介。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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Mamiko Kikuchiベトナムを舞台にした映画

 

私は東南アジアの中では格段にベトナムという国が好きだ。
とはいえ訪れたのは一回きりだし、この国についてものすごく詳しいわけではないけれど、フランス領の名残のあるヨーロッパのベトナムの文化が混じり合った美しさが他の東南アジアにはない唯一無二の魅力でもある。
そんなベトナムだから、映画作品の舞台になるととてつもなく絵になるのだ。
もちろんその背景にあるベトナムという国が過去に背負った痛みも噛み締めながら、私たちはこの美しい国を見つめなければいけないのだけど、ベトナムの人々はそんな過去を胸の奥ににしまって、元気に生き生きと、今日も仕事に励む。
そんなベトナムは国も人もたまらなく素敵。
今回はそんな私の好きなベトナムの風土や、文化、そして歴史が詰まった三選をご紹介。
作品の共通点はないけれど、どれもヒロインがとてつもなく魅力的な私のお気に入りの作品たち。
美しいベトナムの風景と共に、魅力溢れるヒロインの演技を楽しんでもらいたい。

青いパパイヤの香り

公開年:1993年
製作国:フランス/ベトナム
監督:トラン・アン・ユン

 

おそらく私が生まれて初めて出会ったベトナム映画が多分この作品。
邦画にも、ヨーロッパ映画にも、そしてもちろんハリウッド映画にも無い瑞々しさと生々しさにドキドキしたのを今でも覚えている。
手を伸ばせばそのヒロインの肌に触れてしまえそうなカメラワークの中で、少女ムイはいつでも汗をかいていた。
ムッとするようなベトナムの暑さと、青々としたパパイヤの木に囲まれたお屋敷。
そんな中でムイは少女から大人になる。
そして、ムイの中で芽生えた恋心もだんだんと愛に変わっていく様子を丁寧に丁寧に見つめている。これといって大きな事件が起こるわけではない。でもそれも含めて心地良く感じられるのはきっと、監督がつくり上げた瑞々しい映像たちのおかげなのだろう。

ラマン愛人

公開年:1992年
製作国:フランス/イギリス
監督:ジャン=ジャック・アノー

 

この映画を語る時、「官能映画」としての認識している人があまりに多い事に驚く。
そりゃエロティックなシーンが出てくるのだから仕方ないのだけど、私はこの作品を極上のラブストーリーだと思っているから、純粋なラブストーリーとして評価されない事がちょっと悲しい。
愛人となった中国人の男を、差別的に見下しながらも身体では愛し合い、いつしか自分でも気がつかないうちに男を心でも愛していた事に気がつく少女。
原作者マルグリッド・デュラスの実体験だったからこそその感情は生々しく、老いた彼女が後悔を胸に、15歳の自分に囚われているのが分かるから切ない。
この作品の舞台となる1920年のフランス領インドシナの混沌とした美しい街並みと、2人が密会をする、サイゴンの街の雑踏のやかましい音が今でも忘れられない。

第三夫人と髪飾り

公開年:2018年
製作国:ベトナム
監督:アッシュ・メイフェア

 

川の清らかな水の流れも、渓谷に響く鳥のさえずりも、匂い立つようなお香と、美しく鮮やかなシルクのアオザイ。
彼女らの穏やかな日々の映像はまるで桃源郷のようでつい、うっとりしてしまうわけだが、これはベトナムのそんな美しさに隠された、ベトナム社会の闇の物語。
籠の鳥なら鳥らしく、なるべく豪華な籠の中に閉じ込められればそれは女の幸せなの?
全て矛盾だらけなのに、いつのまにかこの籠の中の生活をまるで満たされたかのように順応していく女たち。
自分が自分らしく生きられない世界にどんな未来を見るというのだろう。
矛盾が放置されたままに閉ざされた世界で少女の自我の目覚めを静謐に描きながら、ベトナムの男性社会の生きづらさを強く訴えかける作品となっている。

 
 
 
 
 
 

海外への旅行へ行く人も多くなってきたタイミングでmamiko kikuchiが今回は「ベトナムを舞台にした映画」の5本を紹介。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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