Mamiko Kikuchi

映画の中のファムファタールたち

ファムファタールって男の人にとって運命の女とか破滅させるほど魔性の女って意味。
破滅をさせるほどの魅力ってどこからくるの?
知りたいけど知りたくない、危ないフムファタールたちの魅力をこっそり映画の中で覗いてみたい気分。

Mamiko Kikuchi

髪結いの亭主

公開年:1990年
製作国:フランス
パトリス・ルコント監督

これは破滅に向かわせる魔性タイプじゃなくて純粋に男にとって「運命の女」という意味でのファムファタールのおはなし。
男の人はみんなどこかでヒモみたいな生活をしたいって一度は思ったことあるでしょ?
これはつまりそんな夢を幼い頃から掲げて、嘘みたいなカタチで実現しちゃった男の話。
画面ごしでもフェロモンが匂い立つようなアンナ ガリエラの神秘的な美しさはまるで女神さまのようで、ファンタジーではないはずなのにまるで御伽噺を見ているような気持ちになってしまうから不思議。
少年の性の目覚め、フェロモンが匂い立つような年上の女性への憧れと妄想が叶う理想の女性との愛欲の日々だなんて、冗談みたいに男の夢の妄想を形にしちゃったけど、嘘っぽい感じがしない心地よさがある作品。

Mamiko Kikuchi

エクス・マキナ

公開年:2016年
製作国:アメリカ/イギリス
アレックス・ガーランド監督

これはなんと人間じゃなくてAIの女の子の奇妙なおはなし。
あと、ほんの数年したらこんなこといろんな場所で起こっちゃうかもしれない。
AIでもこんなに魅力的な女の子が、無機質ではないやわらかいすべすべの肌で世界中の男の子たちを魅了したら、女の子がこの世界に余ってしまうではないか!
そしたらとびっきりセクシーな男の子のAIも必要になるかもしれない。
この妖艶で美しいAIを演じたアリシア ヴィキャンデルのちょっぴり憂いを帯びた目元と完璧すぎるバランスのとれた裸体を観て、素通り出来る男はいないと思う。

Mamiko Kikuchi

ドリーマーズ

公開年:2003年
製作国:イギリス/フランス/イタリア
ベルナルド・ベルトリッチ監督

映画オタクである主人公のアメリカの留学生が魅惑的な一卵性双生児の姉弟と意気投合して彼らの住むアパルトマンで共同生活を始める。
まず異性一卵性双生児ってとっても不思議。
二卵性じゃなくて一卵性の男女の双子は遺伝子的にはありえないからその時点で2人は夢のような存在な気がする。

主人公マシューの好奇心がいつの間にか彼らの蜘蛛の糸に絡まり身動きが取れないほどになっていくのは多分必然。
インモラルで退廃的な三角関係の日々はいけないものを覗き見しているような気分だった。
年齢以上の独特な色気を備えながら、可憐な少女らしさも併せ持つ魅力的なイザベルの芸術品のようなヌード姿も含めて思わずエヴァ様と呼びたくなるさすがの風格。

Mamiko Kikuchi

公開年:1959年
製作国:日本
市川崑監督

 

谷崎文学は好きですか?
谷崎潤一郎のディープすぎるマゾヒズムを全部理解することは難しいけど、こういう耽美的なものは実は嫌いじゃない。
これはそんな谷崎の「寝取られ願望」を巨匠市川崑監督が映像化した作品。
外側から見ると上品だけど実はえげつなく、一体誰が何を考えているのか全くわからない張りぼての家で起こるドロドロ愛憎劇は変態チックだけど今の時代観るとみんなキャラクターが滑稽すぎて面白い。
もしもあの世が存在し無いのなら、登場人物の思惑は煙に巻かれていつしか葬り去られる。
心の扉を開ける事なく行き場を無くした鍵が見えないけどこの世界にはたくさん散らばっているのかな。

Mamiko Kikuchi

マジカルガール

公開年:2014年
製作国:スペイン
カルロス・ベルムト監督

ダークファンダジーでも、ミステリーでもサスペンスでもない、得体も知れない感じがしてこれを観た時ナンジャコリャー!って思った。
上手く言えないけど観たあとずっとネットリと後引く忘れられない映画になってしまう。

余命わずかな女の子と幸薄な美しい主婦。
全く交わるはずもないマジカルガール2人が知らぬ間におじさんたちを惑わせてあれよあれよと言う間に不条理な未来が訪れちゃう。
みんなめちゃめちゃ暗いし、誰にも共感できず謎が深まり、訳がわからないままダークでシュールな世界に引き込まれていってもう最後まで観ないと気になるアリ地獄。
でも中盤までまったく散り散りのように思えたストーリーがラスト20分くらいで一気にシュッと纏まってパズルのピースがハマるような感覚もなんか好きだったな。