友永賢治

美しき破壊者たち

ここで紹介する”歌”は、世界に絶望してきたんだという証のようであり、
”枠”の外側から、内に秘めた破壊的衝動で世に蔓延する規範を攻撃しながらも、
もしかしたら、世界を変えれるかもしれない!という思想と”願い”が込められている。
なぜ、”歌”にまでしなければならなかったのか?
そんなことをいつも考えて過ごしています。
良かったら、聴いてみて下さい。

MADONNA『Justify My Love』(1990年)

 

“LOVE”の伝道師Lenny Kravitzとタッグを組んだSINGLE。ビデオクリップは、鬼才ジャン=バティスト・モンディーノが監督。黒いコートの下に黒い下着を付けただけのマドンナがホテルに迷い込み、性別も分からない複数の人間との妖しいひとときを過ごすというもの。醒めたモノクロームの世界で,口髭を描き込んだ男装の女や、妖しく腰をくねらす正体不明のダンサーのシーケンスが差し込まれ、SMや集団セックスをもてあそぶ。この世のエロの全てを詰め込んだような部屋で、唇が触れ合い濃密な抱擁が繰り返されていく。実際に直接的な性交シーンが登場するわけじゃないんだけど、このビデオクリップは当然のごとく放送禁止の憂き目を見た。「他人の許しを得て愉しむなんてつまらない事」と象徴的な言葉で閉まるこの作品は、結果、史上最も売れた「ビデオシングル」になった。ポップ・セックスの幕開けであった。

CHRIS BROWN『Privacy』(2017年)

 

プロデューサーにTygaやFabolousらを手掛けたD.A.Domanを起用。歌詞の内容は超過激で、「18禁」間違い無しの“ザ・セックスソング”。タイトルの”Privacy”とは”Private Parts”、つまり”女性の○○○”の事らしい。そんな歌が1億2千万回以上再生されているなんてアメリカってすごいな〜、ってことじゃなくてCHRIS BROWNがエンターテイナーとして、この作品をここまで押し上げていることが凄い!メアリー・J・ブライジ、Usherなどの大物アーティストが彼のシンガー/ダンサーとしてのスキルを高く評価し「天才」「マイケル・ジャクソンの再来!」と大絶賛している。ルックスの良さや、甘い歌声もさることながら、選び抜かれた実力派バックダンサー達に引けを取らない驚愕のダンススキルも彼が高く評価される大きな要因になっている。事実、彼が新曲のMVを配信する度に、世界中のダンサーがそのダンスを完コピし、SNSにアップする現象が起こっている。

神は細部に宿るというが、まさに肉体を駆使し、その指先、まなざし、サウンドの一粒一粒にまで、彼にしか表現出来ないSEXYな世界を作り上げている。是非、歌詞の和訳を読んで欲しい!

Troye Sivan 『Dance To This ft. Ariana Grande』(2018年)

 

トロイ・シヴァンは、10代の頃から俳優として活動し、14歳で映画『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』の幼きウルヴァリンを演じた。2013年、トロイは自身のYouTubeチャンネルにてゲイであることをカミングアウト。美少年俳優、世界的ユーチューバーとして人気を集め、2014年に念願の歌手デビューを果たす。その美しいビジュアル、スター性、音楽性で注目を集めており、TIME誌の『世界で最も影響力のあるティーン25人』や、ゲイ雑誌OUTの『世界で最も影響力のゲイ』に選出されている。また、世界中のYouTubeユーザーの投票によって決定される『YouTubeミュージックアワード(2015)』も受賞。 デビュー後すぐに、その音楽性が高く評価され、人気絶頂のDJ ZEDDの2ndアルバム内の楽曲『Papercut feat. Troye Sivan』でもフィーチャリングを果たす。ほとんどの曲の歌詞のトロイ自身が書いており、性別にとらわれない恋愛と、愛する人への切ない心情を、独自の感性で表現しており、テイラー・スウィフト、サム・スミス、アデルらが大絶賛している。「YOUTH」「Bloom」など、これまでも素晴らしい楽曲を次々と発表をしてきた彼が、アリアナ・グランデが共演を果たした作品。最新ポップ・アイコン!美しいエロです。

The 1975『SEX』(2015年)

 

THE 1975は、イギリスはマンチェスター出身のオルタナティヴ・ロック・バンド。メンバーは、同じ学校に通っていたマシュー・ヒーリー(vo.)、アダム・ハン(gt.)、ロス・マックドナルド(ba.)、ジョージ・ダニエル(ds.)の4人。彼らは、エレクトロ・ポップ、エレクトロニック・ミュージック、ギター・ポップ、R&Bなど様々なジャンルの音楽に影響を受けており、マシューは中でも、トーキング・ヘッズ、プリンス、マイ・ブラディ・ヴァレンタイン、マイケル・ジャクソン、ピーター・ガブリエル、ブライアン・イーノ、ディアンジェロなどから特に影響を受けている。愛、希望、死、ドラッグ、セックス、そして自身の経験からストレートに表現される彼らの音楽は、多くの人が次々とその魅力に引き込まれている。本作のクリップでは、ブラー,シガーロス、マイケル・ジャクソン、トーキング・ヘッズといった数多くの”HERO”たちのポスターが壁一面に貼られた部屋で演奏する彼らの姿がシンプルに撮影されている。無駄を削ぎ落としたからこそ、楽器の一つ一つや、メンバーが着ているT-SHIRTSに至まで、とにかく洒落ているし、エモい!タイトルも含め、大好きな曲。

『Hedwig and the Angry Inch (Original Motion Picture Soundtrack)』(2001年)

 

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』は、1997年 オフ・ブロードウェイ「ウェストベス・シアター」で初上演、翌年には専門劇場ができるまで話題になり(デヴィッド・ボウイがグラミー賞をすっぽかしてまで観劇したり、マドンナが楽曲の権利使用を熱望したり)、2年半以上のロングラン・ヒットを記録した。2001年に、原作者ジョン・キャメロン・ミッチェル監督・主演で映画化。世界中の観客を魅了し、数々の賞を受賞した。すべての楽曲は、ジョン・キャメロン・ミッチェルのためにロックミュージシャンのスティーヴン・トラスクが書き下ろした。ポスト・パンク、ネオ・グラムロック、メタル、バラード、カントリー多彩な音楽が収録されている。インディペンデント・ロック・ミュージカル史上最高の傑作といっても過言ではない。収録曲「オリジン・オブ・ラブ(愛の起源)」良いですよ!とてもロマンチックな作品。

SE SO NEON 『夏羽』trck2.「A Long Dream」(2017年)

 

ヴォーカル/ギターのファン・ソユンとドラムのカントが始めたバンドを母体として、2016年初頭にソウルで結成。その後、ベースのムン・ペンシが加入し、現在のトリオ編成となる。バンド名の「SE SO NEON(セソニョン)」は、ソユンがソウルの書店でたまたま手に取った韓国の1980年代デザインについての本に載っていた往年の少年雑誌の名前に由来。「セ」は「新しい」を意味する形容詞にも「鳥」を意味する名詞にも受け取られ、「ソニョン」は「少年」を意味する名詞。正式音源発表前から雑誌『ヴォーグ』が注目の新人に選び、次世代のルーキーとしての注目を集めていた。ブルース、ジャズ、サイケデリック・ロックからニューウェーブ、ポップまで、幅広い音楽的な影響を反映した独特のヴィンテージ感あるサウンドを追求してきた。全体に漂うローファイな質感やヴィンテージ感、ブルース/サイケデリックロック/シンセポップなどを消化した「新しい少年」的な音楽性が魅力。6曲入りのEP『夏羽』に収録されている1stシングル「A Long Dream」のクリップは日本人アニメーション作家・土屋萌児が監督。YouTubeでバンドが演奏している映像が沢山観れるので、是非チェックしてみて下さい!とにかく、ソユンのヴォーカルとギター、音楽を奏でるその姿に感動すると思いますよ。