HARUKA

human

今回は、ドキュメンタリー映画をご紹介します。
つまらないものに当たるとと本当に退屈なドキュメンタリー映画ですが、好奇心湧き出す映画を選んでみました。

クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち

監督:フレデリック・ワイズマン

パリにあるキャバレー、クレイジーホースに密着した映画。ヌードで官能的に踊る女性たちは、「エロ」でなく「エロティシズム」と言える。宇宙船のようなものの中で透明のヘルメットをかぶって無重力空間のように踊る姿や、鏡の反射を使った体のラインの美しさが映える演出、照明を使い影の遠近感を利用したショーが印象的だ。さらにフィリップ・ドゥフクレの指の先まで及ぶ演出、振付が加わる事でより繊細に表現される。芸術監督のアリ・マフダビは「女性がエロチシズムを楽しむと男性よりも楽しめる」と語る。
確かにこのショーは男性の為に消費されるヌードとは程遠く、”女性の美”への探究であった。
ナレーションが無いこの本作は自分が入り込んでいるような感覚になる。説明なしに話の流れを作っていくのはかなり難しいことだから、面白い。

ビル・ガンニム&ニューヨーク

監督:リチャード・プレス

NYでストリートファッションのスナップを50年以上していたカメラマン、ビル・カニンガムの私生活や仕事の様子のドキュメンタリー。長年自身のプライベートを明かさなかった彼に8年交渉し続けてやっと撮れたこの作品の中にはフィルムの保管でパンパンな部屋や、彼がストリートだけを撮るようになった理由、彼が愛される訳が映されている。
私は会社で誕生日を祝ってもらうシーンが好き。

ホドロフスキーのDUNE

監督:フランク・パヴィッチ

SF映画に詳しくない私でも楽しめた、伝説の未完SF映画「DUNE」の製作話。12時間の上映を予定していたホドロフスキーが作った分厚い絵コンテは、ハリウッドの様々なスタジオに持ち込まれ、構図やモチーフ、設定、アイデアまで「スターウォーズ」や「ターミネーター」「コンタクト」など大作SF映画に大きな影響を与えた。
なにより、ホドロフスキーという人の世界に対するアプローチが壮大で繊細で大好きになれる。

壁画、壁画たち

監督:アニエス・ヴァルダ

ロサンゼルスにある壁のストリートアートの話。アニエスは散歩が好きで、壁の絵が、メディアにもアート業界にも取り上げられない移民の人種差別や貧困に対する声を表していると思い制作した映画。
アニエス・ヴァルダはどの作品にも自分を投影している事が多いが、映画業界では特にひどい女性蔑視に問を立てる彼女の生き方だったり、当時旦那のジャック・ドゥミと別居中で借金もあったことから、立場の無さや貧困に悩むアニエス自身も表していたと言える。
苦しい事実もあるけど、住んでいる本人達は決して暗くない鮮やかな空間を作っている事に、自分が社会の一部なんだという認識と人のエネルギーを感じた。

顔たち、ところどころ

監督:アニエス・ヴァルダ

アニエス・ヴァルダが亡くなる少し前に日本で公開された映画です。写真家のJRと一緒にフランスの田舎を”計画しないこと”を条件にめぐる。「Inside Out」(様々な場所で、そこに住む人々の大きなポートレートを貼り出すJRの参加型アートプロジェクト)で行く先々に出会うヤギの角を取らずに飼育している人や、偶然再開した郵便配達の人などを写真に撮って大きく印刷し、コンテナや家の壁や岩に貼る。
人の顔を大きく印刷して貼る行為で、社会に対してのメッセージになる面白さ。ギイ・ブルタンの海のシーンが1番印象的。儚かった。ゴダールのシーンもなんとも言えない!

Cu-bop

監督:高橋慎一

キューバのミュージシャン、サックス奏者セサル・ロペスとピアニストのアクセル・トスカの2人を追った作品。キューバで活動し続けるロペスとニューヨークに渡るトスカ。米国発のジャズがどうして敵国であるキューバで盛んなのか。その特殊な文化的背景を映している。高橋監督が何度も喧嘩をしながらも撮影したというこの映画はミュージシャンのドキュメンタリー映画では珍しい密着具合で、見応えがある。
なにより音楽が最高。気になった人はとりあえず、Cesar LopezとAxel Toscaをググって!